置き忘れた言葉達

ほんの少しでも残ればいい

スケアクロウ

ただ見ていた

緑を走る 自転車を

ただ聴いていた

青に響く 歌声を

声を出すことも

温もりに触れることも

許されぬ存在

この躰が朽ちたのなら

風になり

濡れた頬をかわかし

背中を優しく押すだろう

ただ見ていた

風と走る 自転車を

ただ聴いていた

風に響く歌声を 

 

 

サヨナラ日和

呆れる程の蒼い空

掴めそうな雲

貴方のイメージ

せっかちな月と

帰りたくない太陽

視線を交わした

そんな日に 

別に今日じゃなくても

なんとなく

ひとりでも平気な気がした

そんな日でした

 

コトダマ

耳の奥のもっと奥 

記憶の引き出しの中

自分では取り出す事など

出来ない奥底に

潜んでいる

総て崩れ去る叫び声

あの日から

上手く目蓋が閉じれない

僕はきっと

重なっていた場所を

憎んでは撫で

掴んでは握り潰す

消えない傷も罪も

そのままで