置き忘れた言葉達

ほんの少しでも残ればいい

自問自答

躓いた 何に わからない 何も無い所で 負けた 誰に わからない 知らない所で 痛んだ 何が 見えない所で 自分の事なのに 何処かで見ている 自分の事なのに 他人で見ている

かたち

その街の名前を僕は知らない 風や色も 夕暮れ時の雲のカタチさえ その人の名前も僕は知らない 手と声も 夕暮れ時の影のカタチさえ 僕等は散りばりながらも 言葉 吐き出し 悲しみ 喜び 歩いていく 不確かな存在 それでも 繋がっていたい

スケアクロウ

ただ見ていた 緑を走る 自転車を ただ聴いていた 青に響く 歌声を 声を出すことも 温もりに触れることも 許されぬ存在 この躰が朽ちたのなら 風になり 濡れた頬をかわかし 背中を優しく押すだろう ただ見ていた 風と走る 自転車を ただ聴いていた 風に響く歌…

禁断症状

震えが 汗が 止まらない 僕を包んでいる1枚の皮がザラついている それを飲めば それに触れれば それを抱けば それを刺せば すべてが止まるのだろうか すべてが終わるのだろうか

サヨナラ日和

呆れる程の蒼い空 掴めそうな雲 貴方のイメージ せっかちな月と 帰りたくない太陽 視線を交わした そんな日に 別に今日じゃなくても なんとなく ひとりでも平気な気がした そんな日でした

糸電話

ゆれる ゆれる 君の声 ゆれる ゆれる 僕の声 切れてしまわぬよう 着かず離れず 二人の距離で 何処に居ても 跳ねる声を擽る声を 聴かせて欲しい

コトダマ

耳の奥のもっと奥 記憶の引き出しの中 自分では取り出す事など 出来ない奥底に 潜んでいる 総て崩れ去る叫び声 あの日から 上手く目蓋が閉じれない 僕はきっと 重なっていた場所を 憎んでは撫で 掴んでは握り潰す 消えない傷も罪も そのままで

自我色

彼女はいつも黒 誰かを失った訳ではなく 彼女はいつも黒 誰に染まった訳じゃなく ただその色が好きなだけ 明るく振る舞う彼女は 夜が嫌い 闇が嫌い 輪郭を消し去る漆黒でも 自分でありたいと願うから 黒の中でひとり嗚咽する 彼女はいつも黒 誰かを失った訳…

32

透けるように薄く スライスされた味気のない夢を 無理矢理頬張り 生きている

カラダからだ

悲しみ ミチル 喜び カケル 躰 からだ 怒り タエル 哀しみ フェル カラダ 空だ キエル 記憶 キエル 明日 カラダ空だ

祈り

僅でも 熱を帯びた言葉 風に乗せて 最短距離で届けよう 真っ白なキャンバス 彩るように ささやかな微笑み 安らぎ 君の眠る街に 君の眠る夜に

風化

あれから3年 君との10年を 僕は まだ堀り続けてる 煤けて化石になったソレを

初恋

汗ばむシャツ 駆け上がる坂道 公園横の電話ボックスが着地点 張り付いて離れない あの夏